忍者ブログ
松誕☆文章関連の投稿作品をのっけていきます!メールフォームに投稿してください~☆お待ちしております☆
<< 2024 / 11 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
[8] [7] [6] [5] [4] [3] [2] [1]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


サイトの方にあります伊出松「時の旅人」
www6.ocn.ne.jp/~k.sakaki/deathnote.text19.html
に至るまでの経緯テキストを投下~☆

お題:「プレゼント」

毎日が、ただ漠然と過ぎていく。
喪失感と隣り合わせの毎日。

変化のない日々。
それは、突然だった。

僕宛に届いた、小さな郵便物。
封筒を裏返してみても、名前はない。

手紙にしてはふくらみがあって、
僕は怪訝な顔をしてそれを手の平に受け止め、重みを量る。

何だろう…?

その重みは、何だか、僕の心にのしかかるようで、
ためいきをついた。

封筒の端を千切り、ひっくり返してみた。

冷たい金属が、手の平に落ち、直ぐに僕の熱を吸って、
同じ温度になった。

ちゃりと音を立てる。

「鍵」

どこの鍵かはわからない。
そしてこれを送った人もわからない。

なのに、僕は、思ってしまう。

「…竜崎なんですか?」

連なる、鍵。
ふたつとも形が違っていた。

僕は部屋で、その鍵を見つめた。
そのまま、朝を迎える。
その日、捜査があったのだけど、気になって仕方なくて、
抜け出して、公園でまた、その鍵を見つめた。

何でもないかも、知れない。
でも、何でもなかったことにしたくない。

何でもなかったことにしたばかりに、
僕はこんなになってしまったんだから。

何だって良い、何だって良いんだ。
きっかけさえあれば。

僕は、それを自分から見いだせない。
これは、それを見抜くようだった。

もう居ない、あの人が僕にこんなものを送れるはずがなかった。
だけど、僕は、そう思いたかった。


その鍵は僕の誕生日に届いた。
それが、偶然でも、いい。

導かれるままに。

何気なく封筒の中を覗いてみると、文字が見えた。
荒くシャープな文字に、震える。

「HAPPYBIRTHDAY」流れるような筆記体。

間違いない。

渡されず、届かないまま、何年もこれはさまよったんだろうか。
それとも、竜崎は、どこかで。


僕は思わず、
「…今頃、今更ですよ」と、呟いた。

遠くで、竜崎が笑って、る。

届かない手紙はありません。
いつか、あなたは気付きますから。

「…」

頷く竜崎は、慈しむように僕を見て、消えた。

「竜崎、待っていてください」

そう決めた途端、身体が軽くなった。
手の平の鍵を見つめると、きらりと輝いてる。

それを握りしめる。

「…ありがとう」

いつも、いつだって。

拍手[0回]

PR
Add a comment:
name
title
e-mail
URL
color
comment
pass
Comment:
Trackback:
Trackback URL:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
[12/21 さかき]
[12/21 さかき]
[12/21 さかき]
[12/16 さかき]
[12/15 戦闘員]
最新トラックバック
アーカイブ
プロフィール
HN:
さかき
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア

忍者ブログ [PR]